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STORYストーリー

Tanga Table プロジェクトストーリー
「まちをあじわう宿づくり」

北九州をあじわう宿、Tanga Tableはどのようにはじまったのだろう。

Tanga Tableに関わるみなさんに、話を聞きました。(聞き手:大越元)

東京に集まったのは吉里裕也さん(建築)、寺脇加恵さん(料理)、青木純さん(コンセプト)。福岡県北九州市からは、遠矢弘毅さん(店舗運営)、西方俊宏さん(番頭)がSkypeで参加しました。

Tanga Tableのはじまりは、2014年2月に行われたリノベーションスクールでした。

ユニットマスターとして、受講生とともにプロジェクトを形にしたのが、吉里裕也さん。東京R不動産を運営する株式会社SPEACの共同代表です。

吉里:九州新幹線の小倉駅から歩いて10分ほどで「北九州の台所」とも呼ばれる旦過市場が見えてきます。

その川向かいにあるホラヤビルの4階は、長年空き物件になっていたんです。立地はよいけれど、面積は176坪もある。大きさゆえ、なかなか借り手が見つからずにいたんです。

いっぽうで小倉を見渡すと、宿泊施設はビジネスホテルばかりです。地元の人も「小倉らしい宿がない」と口を揃えていて。それならば、旦過市場の”おいしい”をあじわえる宿があったらいいな。ゲストハウスとダイニングからなるTanga Tableをつくろう、という提案でした。
これが、リノベーションスクールであがってきた最初のイメージだったんです。

リノベーションスクール後は、オープンに向けたプレワークを進めてきました。法的な問題はないか、どう設計するか、資金調達は?次第に、「北九州をあじわう、旅のはじまり」というコンセプトも決まって。

ゲストハウスのベッド数は全部で67。ドミトリーと1〜5人が泊まれる個室5部屋があります。ダイニングは、30席ほど。

7〜24時の営業予定です。旦過市場から仕入れた食材を料理したいんですね。また、ゲストハウスには宿泊者専用のキッチンを設けます。宿泊者が自分で市場を歩いて食材をそろえ、料理を楽しんでもらえたら。
変更点も出ていますが、こんなつくりになるイメージです。

せっかく訪れたからには、おいしい料理をあじわってほしい。寺脇加恵さんに、北九州の食材をいかしたメニューを考えてもらいます。

– 寺脇加恵さんは、2010年にBeauty Barを起業。ケータリングから飲食店の店舗再建まで、幅広く食に取り組んできました。

加恵:わたしは食をテーマに、日本そして世界中を旅しています。土地に泊まりながら、市場で出会った食材を調理して味わえる。一筆書きのような体験ができたらいいな、と思っていたんです。

ゲストハウスのキッチンでは、料理好きはもちろん、日ごろ手を動かさない人にこそ楽しんでほしいな。「あの店でコレ、この店でアレを買ってきたら、こういうご飯ができます」というレシピも提案していきます。キッチンで料理をしながら、宿泊者同士が知り合えたらいいなと思うんです。

– 北九州には、どんな食があるんですか?

家庭の味として親しまれてきた料理に”ぬかだき”があります。江戸時代に、保存食として生まれたそうです。足の早いサバやいわしといった青魚を、糠(ぬか)で長時間炊き込むんです。たけのこやこんにゃくを炊いたものもおいしいんですよ。

もともとは各家庭でつくられたもの。糠床が嫁入り道具だった、という人もいるぐらいです。ゆくゆくは、Tanga Tableで糠床を仕込むのもいいかもしれませんね。

それから、小倉ならではの野菜もあります。葉の刻みが少ない「大葉春菊」は、この辺りでしかとれないそう。こういう食材が朝食で出たら、うれしいと思うんです。

その他にも合馬(おうま)たけのこ、豊前(ぶぜん)海一粒かき、小倉かまぼこ、発祥の焼うどん… 色々あるんです。

– 旦過市場って、どんなところですか?

加恵:朝早くは業者向け、昼前から近所の人が買いものに訪れます。なんていうか、熱量がすごいんですよ。親子で営む八百屋さんで大根を15本いただくと、「なにやるの?なにやるの?」と声をかけられて。Tanga Tableのことを話したら「仕入れるなら届けるから言ってねー」と声をかけてくれました。

一方で客層は高齢化しつつあります。お客さんのほとんどが、おばあちゃん。ほんとうは、若い人にも来てほしい。もっと交流したい気持ちもあるけれど、何からはじめたらいいかわからない。そんなふうに感じました。

– ここで、東京の豊島区で大家業を営む青木純さん。リノベーションスクールでは、吉里さんとともにユニットマスターを務めました。

青木:はじめて小倉駅を降りたとき、感動したんです。昔といまが雑多に入り交じって、舞台のようなまちで。現に、映画の舞台にもなっています。駅前を抜けたアーケードの感じもよくて、ご飯もおいしい。全然いいじゃんと思った。でもその魅力って、外からはなかなか見えない。実は地元の人も、必ずしもそうは思っていなくて。

Tanga Tableでは、まちの魅力をもう一度編集し直して、伝えていけたらと思うんです。小倉を訪れた人が、自分で市場を歩いて。買いものを楽しんで。それを料理する手伝いというか。

もう一つは北九州の人にこそ、北九州を旅してもらえたら。地元のことって、知っているようで知らないと思うんです。いま住んでいる人はもちろん、東京に出てきた人が、再発見するきっかけになればうれしいです。そのときに、加恵さんの考えるメニューが一役買ってくれると思うんです。

加恵:たとえば、ダイニングで買ってきた糠炊きをそのまま出すのか、それとも、ひと手間加えるのか。その違いは、食べた人に伝わります。北九州で出会った人や食材を一度受け止めて、思いを料理に乗せられたら。そう思います。

– Tanga Tableでは、女性に安心して泊まってほしいという。

吉里:そういうゲストハウスは、ありそうでなくて。ドミトリーもプライバシーを保てるように、2段ベッドの入口を互い違いにしています。もちろん個室もあります。

実は”番頭”を務める西方くんが、ゲストハウス苦手らしくて(笑)。そういう人だからこそ、できることがあると思うんです。

– 番頭を務める西方さんは、北九州市出身の方。

西方:大学を卒業後、熊本県の黒川温泉の旅館で3年間働きました。お客さんともっと関わりたいと思うようになって。独立も考える中で、Tanga Tableに出会いました。

– “番頭”の仕事は予約対応、訪れたお客さんのチェックイン対応にはじまり、北九州の旅の案内まで幅広いもの。また旦過市場の人を取材し、Web上で紹介もしています。

地元に、あまりいいイメージはなかったんです。友だちにどんなまち?と聞かれても「うどんのおいしいまち」というぐらいしか答えられなくて(笑)。

でも入ってみるとおせっかいなおばちゃんに、若者がたじたじ。そんなあたたかみのあるまちでした。訪れる人に合わせてあまい旅もしょっぱい旅も提案していきたいです。Tanga Tableをベースキャンプに、これからもっと、まちの人と関わっていきたいです。

“旅”は僕自身のテーマなんです。旅をとおしての気づきが、自分の日常にかえってくる。訪れる人にとっても、働く人にとっても、ここがはじまりになったらいいなと思います。

今回は、Tanga Tableで一緒に働くなかまも募集しています。

店舗をオペレーションするのが、小倉でcafé causa(カウサ)とcucina di TORIYON(クッチーナ・ディ・トリヨン)を営む遠矢さんです。

– 遠矢さんはさまざまな仕事を経たのち、「気軽に人の集まれる場をつくりたい」という思いから、2010年にcafé causaを立ち上げます。1階のカフェだけでなく、2階にインキュベーション(起業)機能を持つフリースペースがあります。

遠矢:8月のオープンから、Tanga Tableを一緒につくるなかまを募集したいんです。職種でいうとダイニングのマネージャーとスタッフ、そしてゲストハウスのスタッフです。

とくにマネージャーの方には仕入れから撤収まで、一通りお任せしたいんです。メニュー開発もすれば、ゲストハウスのオペレーションも採用活動もするでしょう。

全部やることを楽しめる人がいいと思う。たとえば、ゆくゆくは自分でオーベルジュ(宿泊施設付きのレストラン)をはじめたい人には、とてもいい機会だと思うんです。

吉里:そうだよね。独立も全然よくて。いつか地元に帰ったとき、僕や青木さんたちと一緒にやれることもあると思う。

– 経験は必要ですか?

マネージャーの方については、カフェ以外の飲食店で3年働いた経験のある人が理想的です。ただ、一番大切にしたいのは思い。僕らのバックグラウンドから伝わるかもしれませんが、Tanga Tableはいわゆる飲食とはちょっと違うと思います。

ぬかだきにひと手間加えた料理をダイニングで出すこと。北九州の人を取材して、泊まりにきた人に紹介したり、Webで記事にすること。料理と編集という方法は変わりますが、どちらもまちの魅力を再発見し、伝える仕事です。

旦過市場に行って、自分でメニューを考えるもよし。北九州市の面白い人をゲストに招いてイベントをやるのもいいんです。思いさえ共有できたら、各々がどんどん自由に動いてほしいんです。

– 最後に聞かせてください。遠矢さんから見た北九州って、どんなまちですか?

面白いなって思うんです。実は、24時間スーパーがオープンしたのも、公道にアーケードをつけたのも、北九州が日本初でした。じゃあ次は?毎日を楽しむ人の集うまちかな、と思っています。ここでの毎日を楽しむことから、次の発明が生まれると思うんです。

募集要項
企業名 株式会社タンガテーブル
募集職種 1. カフェスタッフ
(マネージャー・キッチン・ホール)
2. ホステルスタッフ
(フロント等)
雇用形態 正社員、契約社員、パート・アルバイト
給与 正社員:月給 180,000 円以上(試用期間あり)
契約社員:日給月給制(日給 8,000 円以上)
パート・アルバイト:時給 800 円以上
福利厚生 社会保険完備、社員割引制度、子育て支援制度

小倉の家賃相場は、2DK でも3万円台からあります。
また入居物件については DIY 可能物件など、相談に乗れることもあると思います。

仕事内容 1. カフェスタッフ
(カフェの運営全般、調理、ドリンク提供、ホール業務)
2. ホステルスタッフ
(受付、観光案内、館内チェック)
勤務地 福岡県北九州市小倉北区馬借
勤務時間 6:00〜24:00 の間でシフト制(実働8時間)
パート・アルバイトは希望に応じます。
休日休暇 週1日(交代制) 慶弔休暇 有給休暇
応募資格 経験不問
飲食店・宿泊施設勤務経験者優遇
選考基準 人生を楽しんでいる人
こんな人と働きたい ・働くことと生きることが楽しく調和している
・まずやってみてから考える
・翌朝には嫌なことを忘れている
・つい人を喜ばせてしまう
・聞き上手
採用予定人数 1. 2〜3 名
2. 1〜2 名
選考プロセス まずは下記より応募・お問合せください

書類選考

面接

採用(試用期間あり)

登場人物

青木 純

日本の賃貸文化をリノベーションし、経産省「平成26年度先進的なリフォーム事業者表彰」受賞。TEDxTokyo2014 の登壇やThe International New York Times掲載など世界から注目される。大家である自らを「まちの採用担当」と表現、運営する「ロイヤルアネックス」や「青豆ハウス」には暮らしのデザイン力が高い入居者が集う。都電家守舎の代表として生まれ育った豊島区を拠点としたリノベーションまちづくりにも取り組んでいる。

吉里 裕也

SPEAC inc. 代表取締役/「東京R不動産」代表ディレクター
1972年京都生まれ。東京都立大学工学研究科建築学専攻修了。ディベロッパー勤務を経て、2003年「東京R不動産」2004年にSPEAC,inc.を共同で立ち上げるとともに、CIA Inc./The Brand Architect Groupにて都市施設やリテールショップのブランディングを行う。建築・デザイン・不動産・マーケティング等の包括的な視点で建築のプロデュースを行っている。共編著書に「東京R不動産」「全国のR不動産」「toolbox」「2025年建築『七つの予言』」等。東京都市大学非常勤講師。

寺脇 加恵

1976年神奈川県生まれ。上智大学法学部法律学科卒業。大学在学中にアンティークアパレル輸入製造業で起業。世界50国を旅し、行く先々で興味のあった食文化も学ぶ。10年後に無添加調理による世界各国料理ケータリング業を立ち上げ、他様々な業態の飲食店舗のメニュー開発を約30店舗手がける。直近では、平成25年度の農水省や経産省の地域活性化案件を6カ所手がけ、現在はシンガポール、ベトナム、台湾など、海外市場の飲食店舗案件、国内では、大学機関×食の案件などに携わっている。他、IWCJ財団の設立に関わり副理事に。小学生を対象とした、各国大使館との多様性&食育イベントを月1で開催、現在まで50カ国の大使館との実績を持つ。大使館シェフのいない、小国の大使公邸料理人なども務めている。

遠矢 弘毅

1967年鹿児島県阿久根市生まれ。1990年北九州大学商学部卒業
株式会社ユナイトヴィジョンズ代表取締役/cafe causaオーナー/リノベーションまちづくり推進協議会副会長/九州ビジネスインキュベーションプラザ幹事/Pecha Kutya Night Kitakyushuオーガナイザー/北九州市雇用創造協議会主催開業講座講師。
株式会社九州リクルート企画(現リクルート)、会計事務所等を経、2006年財団法人北九州産業学術推進機構にてインキュベーションマネージャー(日本新事業支援機関協議会認定IM・22期)、2010年cafe causa開業、2012年株式会社ユナイトヴィジョンズ設立。

西方 俊宏

1989年福岡県北九州市生まれ。福岡大学を卒業後、熊本県は黒川温泉の旅館で3年間ほぼ働く。2015年、自身の生まれ育ったまち北九州市のまちづくりに携わりたいと考え北九州家守舎の門戸を叩く。現在、8月にオープン予定であるTangaTableの番頭となるべく修行中。

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